自覚した想い


ムカつく。何こいつ。今日こそ別れてやるっ!!

俺は右拳を握り締めると目の前でへらへら笑って、知らない少年と腕を組んでいる男の顔に右ストレートを食らわせた。

「もう先輩なんか知らない!!別れてやるっ。二度と俺の前に姿見せんな!!!」

俺はそう吐き捨てるとその場を後にした―。





俺の名前は時田 浬(トキタ カイリ)、16歳。1分前に付き合っていた男と別れたばかりだ。

あの男は浮島 洋一(ウキシマ ヨウイチ)と言って、俺の高校の先輩にして今では元カレというやつだ。

「ふざけやがって!」

1人道を歩きながら俺は悪態をつく。

俺の声に驚いて、通行人が振り返るが無視だ、無視。

だいたい先輩がしつこく俺に付きまとってきて付き合ってくれ、って言うから付き合い始めたのに何ですぐ浮気すんの!?

信じらんない!!

俺のこともう好きじゃないの?

それとも初めから遊びだったの?

次第にネガティブになっていく自分の思考に自然と瞳に涙が浮かぶ。

「ふざけんなよ…」

だが、俺はあんな奴のせいで泣くものかと頭を振ってその考えを頭の中から追い出した。







とぼとぼと考え事をしていたのがいけなかったのかふと、顔を上げると知らない場所だった。

「あ、一本曲がり間違えたのか?」

俺はますます気分がへこんでしまいため息を付いて来た道を戻る。

すると、細い路地から出てきたガタイのいい見るからに不良そうな五人組に進路を塞がれ、囲まれた。

俺は不機嫌もあいまって、男達を睨みつける。

「何だよ、どけよ!!」

強気な俺の発言に男達は下卑た笑みをその顔に浮かべ笑い合う。

「どけよ、だって。ハハハ…」

「可愛い顔して強気だなぁ、おい」

「俺すっげータイプ」

じりじりと距離を詰めて来る男達に俺は応戦しようと構えた。

「おっ、やる気かぁ?」

「そんな細い腕で俺達を倒そうってか。無理だろ」

「うるせぇ!!」

俺は正面にいた男の懐に潜り込むと握り締めた右拳を思い切り男の顎めがけて突き上げた。

大した威力は無いと俺の事を侮っていたのか、男はもろに食らって仰向けに倒れこんだ。

「てめぇ!!」

一瞬の出来事に呆気にとられていた男達は仲間がやられた事を理解すると表情を一変させて俺を睨んできた。

「はっ、ざまーみろ」

俺は痛む右手を左手で擦りながらしなくてもいい挑発をする。

「優しくしてやろうと思ったが気が変わった…。てめぇら、こいつをつかまえろ」

男達の中で一番体格の良い紫頭の、リーダー格っぽい男が仲間に指示を出す。

その言葉に次々と男達が俺に襲いかかってきた。

「ちょこまかすんな!?」

俺は小柄な体格をいかして男達の攻撃を避け、逃げ道を探す。

流石に男4人相手に正面から闘うことは出来ない。さっきのはその場の勢いと言うやつだ。

「はっ…はっ…」

だが、ずっと攻撃を躱せるワケもなく、体力が落ちてきた俺は男がくりだした蹴りをもろに腹に食らって吹っ飛んだ。

「――っ」

その時、コンクリに背中を打ち付け一瞬息が詰まり、俺は痛みに顔を顰めた。

俺が動けないでいると、紫頭が俺の上に乗っかってきた。

「〜っ、どけ!!」

「こんな状態でもまだそんな事が言えんのか」

「いいから早くどけ!!このクソ野郎!!!」

男は俺の言葉に片眉をぴくりと跳ね上げ、俺の両手をひとまとめにし、頭上にもっていくと周りにいた仲間達に押さえ付けろ、と言った。

俺は手足を地面に押さえ付けられ完全に自由を奪われた。

それでも何とかしようと手足に力を入れ、暴れようと抵抗する。

「放せっ!!」

「フン。その強気、俺達にヤられてどこまで持つかな?」

男は俺のワイシャツに手を掛けると左右に引き千切った。

ビリビリと布が裂け、服に付いていたボタンがいくつか飛んで使い物にならなくなる。

「何すんだてめぇ!?」

服の下からあらわれた白く肌理細やかな綺麗な肌に男達はごくり、と生唾を飲み込んだ。

紫頭はまずその肌に手を滑らせ、感触を楽しむと、白の中に良く映える赤い突起を口に含む。

「〜〜っ。やっ、やめろ!!」

俺は肌を伝うごつごつした手と、ぬめりと執拗に這わされるざらざらした舌の感触に気持悪さで体が震えた。

それを感じていると勘違いした紫頭は俺のベルトを外し、下着の中に手を入れてくる。

「いやだっ…やめろ…せんぱぃ…先輩!!!」

とうとう堪えきれなくなった俺は瞳から涙が溢れ落ちるのも構わず首を振って拒絶し、嫌だ、先輩!!と一方的に別れを告げた先輩の名を叫ぶ。

「ちっ、うるせぇな。いくら呼んだってその先輩は来ねぇよ」

紫頭は俺の口を片手で塞ぐと行為を続けようとする。

しかし、次の瞬間俺の上に乗っていた紫頭が吹っ飛んだ。



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